相続で重要な遺産分割協議
相続は遺言書があるとないとでは大違い。遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行ない、しかもその協議は相続人全員の合意がないと成立しません。遺産分割協議の内容や方法、遺産分割協議書についての知識を学びましょう。

相続で重要な遺産分割協議

当事務所の基本業務~相続完了まで一切を行います

  • 戸籍を含む書類取得、書類作成(相続人確定・相続財産確定)
  • 相続人様全員とのやりとり
  • 金融機関払戻し、各相続人様への相続金分配、計算書送付
  • 相続登記(提携司法書士)、税務申告(提携税理士)

相続人全員参加の遺産分割協議を行ないます

遺言書がなかった場合は、必ず遺産分割協議を行ないます。遺産分割協議は、特に遺産が不動産などの場合に、その共有関係を解消して各相続人に分配するために行います。
相続人の代表者の方(遺された相続人のうち主だった方や代理人)が、相続を開始するために相続人や財産等について調べていきます。

 

遺産分割協議の大まかな流れを確認しましょう。

■相続遺言に関する民法等改正

  1. まず遺言書を探します。以下は法的効果のある遺言書がなかった場合の段取りとなります。
  2. 相続人(相続財産を受ける者)を確認します。
  3. 相続財産を確認します。
  4. 相続人全員に連絡を取り、相続のあることを告げます。
  5. 法定相続分をベースにして、遺産分割協議書の案を作成します。
  6. 相続人全員に参加の案内をし、遺産分割協議開催の段取りをつけます。
  7. 遺産分割協議書の案をもとに、相続人全員参加の遺産分割協議を行います。
  8. 包括遺贈の受遺者がいる場合には、その者の参加も必要になります。
  9. 相続人全員の合意により、各自の相続分を決めます。
  10. 遺産分割協議が成立したら「遺産分割協議書」を作成し相続人全員が署名捺印をします。
  11. 遺産分割協議書をもとに、金融機関の手続きや不動産の相続登記等を行います。
遺産分割協議とは、被相続人の財産の配分を決める協議のことです。

相続の最初から最後まで。ご相談承ります

まず遺言書を探します

遺言書が後から出てきた場合は、遺産分割協議がやり直しとなるおそれがありますので、まず遺言書を探します。
次の段取りで遺言書を探していきます。
  1. まずは自筆証書遺言がないか、故人様の自宅を探します。また近しい方に、遺言の存在をほのめかしていなかったか確認します。
  2. 知り合いに士業の方がいれば、遺言書の存在について確認します(知り合いならば、遺言を託す可能性が高いからです)。
  3. お近くの公証役場に公正証書遺言の存在を確認します。この場合は戸籍謄本等の確認書類が必要になりますので、事前に公証役場にお問い合わせ下さい。
  4. 貸金庫契約があれば、銀行等の貸金庫を当たります。
  5. それでもない場合は、再度自宅や関係のある場所を探してみます。公証役場以外から遺言書が見つかった場合のほとんどは自筆証書遺言になります。
  6. 遺言書が自筆証書遺言だった場合は、封を開けずに家庭裁判所に「検認」を申請します。
  7. 遺言書が自筆証書遺言だった場合は、遺言書の法的効果を確認し、法的効果がある場合はそれをもとに相続を執行するか、協議を行うかを判断します。
  8. 公正証書遺言であった場合には、基本は遺産分割協議によらず、故人の意思に従って相続を進めていきます。
  9. 公正証書遺言も含め、相続人全員が遺言書の内容を理解した上で、別途遺産分割協議で相続分を決めることもできます。その場合は協議成立を優先することも可能です。ただし遺言執行者が指定されていた場合は、遺言執行者に従うことでトラブルを回避することになります。
遺言書が公正証書遺言だった場合は、基本的には故人の意思を尊重します。

戸籍収集から相続財産や負債の探索、銀行の払い戻しまですべて代理で行います

相続人を確定します

  1. 被相続人の出生から死亡時までの戸籍を取得し、相続人を確定します。
  2. 現在の戸籍だけでは、知れていない相続人(前妻の子や認知された非嫡出子、養子等)が現れる可能性があります。基本的には金融機関は、公正証書遺言等がない場合の相続においては、相続人が確定できる戸籍までたどっていないと払い戻しに応じてくれません(相続人が完全に確定しない状況で払い戻しに応じてしまうと、金融機関が損害賠償の対象となる可能性があるからです)。必ず被相続人の出生時まで遡った戸籍(金融機関によっては、出産可能性のある10数歳までの戸籍で認められる場合もあります)を取得します。
  3. 遺産分割協議は相続人全員の合意が必要となります。相続権のある者全員の存在を確認をしないと、相続人が後から現れた際には相続のやり直しが必要となります。法定相続権者全員の戸籍や住民票(生存していることが確認できる)を取得します。
  4. 戸籍上にある前妻の子や、認知された非嫡出子等の確認をします。
  5. 相続人が海外に居住している場合でも、基本は協議に参加しなければなりません。参加できない場合は、書類の受領や協議の合意の取付等が必要となります。その場合も必ず実印のある同意書を受領します。
  6. 相続人に行方不明者がいる場合は、家庭裁判所に「失踪申告の申し立て」を行わなければなりません。また同じく家庭裁判所に申請し、「不在者財産管理人」選定の申し立てを行ないます。不在者財産管理人に遺産分割協議に参加してもらい、協議を成立させます。不在者財産管理人は、法定相続分以上の請求をもって行方不明者の相続分を確保します。
  7. 相続人に未成年者がいる場合は代理人を立てます。親権者の親が相続人のうちのひとりである場合は、家庭裁判所へ未成年者の「特別代理人の選任」を請求します。夫が亡くなり、妻と未成年の子供が相続人になる場合などがこれに当たります。
  8. 相続人に成年被後見人等の制限行為能力者がいる場合は、後見人等の代理が必要となります。
  9. 遺産分割協議には基本的に相続人以外の者は参加できません。例外として、包括遺贈を受けた者や相続分を譲渡された第三者、および本来の相続人でない数次相続人が加わる場合があります。
  10. 相続人が確定次第、「相続関係説明図」を作成します。
  11. 相続人が多い場合の戸籍謄本等の収集はかなり手間がかかります。まず被相続人の遡った戸籍を取得し、順番に遡って続人をたどっていきますが、相続人が多い場合には数十枚の戸籍が必要になります。
  12. 被相続人や相続人が遠方にいる場合は郵送での取得になります。
  13. これらの要素もあり、すべての戸籍等の取得には数ヶ月かかる場合もあります。
相続人を確定し、相続関係説明図を作成します。

遺産分割の方法について

遺産分割の方法には次の4つがあります。
  1. 現物分割
  2. 換価分割
  3. 代償分割
  4. 共有

「現物分割」とは、現物をそのまま分割する方法ですが、遺産が土地であれば共同相続人に分筆するなどして分割します。
「換価分割」とは、個々の遺産を売却してその代金を配分する方法です。売却した財産については、譲渡所得の課税がなされます。
「代償分割」とは、現物を特定の者が取得し、他の相続人には相続分の金銭等を支払う方法です。この場合には遺産分割協議書にその旨の記載があれば、贈与税は課税されません。
「共有」とは、現物を共同相続人が分割せずに、それぞれの持分に応じて共同で所有する方法です。他の方法がむつかしい場合に選択されます。

遺産分割協議の進め方について

遺産分割協議は、次のような段取りで協議を進めていきます。
  1. 法定相続分や財産の状況、「寄与分」等を加味して遺産分割協議書の文案を作成します。
  2. 相続人全員に遺産分割協議への参加を求めます。参加できない者がいる場合は、必ず実印を押した合意書を取り付けます。
  3. 遺産分割協議書の文案に基づいて協議を行います。
  4. 協議が成立した場合は、相続人全員分の印鑑登録証明書を取得します。金融機関に相続の届出をする際には発行日より3ヶ月以内(金融機関によって異なります)の印鑑登録証明書が必要となるため、それから逆算して取得します。
  5. 遺産分割協議書(必要に応じて遺産分割証明書)を作成します。遺産分割協議書には、必ず相続人全員の署名および実印の押印が必要になります。
協議が成立した場合は必ず相続人全員の署名および実印押印と、印鑑証明書を取り付けます。

協議にかかわる最近の民法改正

不動産登記の義務化(2024年4月1日施行)

相続で不動産を取得した相続人は、その相続から(相続により所有権を取得したことを知った日から)3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。また遺産分割協議によって不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内にその内容を踏まえた相続登記の申請をしなければなりません。正当な理由がないにもかかわらず申請をしなかったときは、10万円以下の過料の適用対象となります。
同じく2024年4月1日から、より簡易的に相続登記の申請義務の履行ができるよう、「相続人申告登記」という新たな制度が設けられました。この制度の内容は次の通りです。
不動産所有者が亡くなった場合において遺産分割協議がまとまるまでは、全ての相続人が民法上の相続分の割合で共有している状態となります。「相続人申告登記」は、まだ協議がまとまっていない状況において、【登記簿上の所有者についての相続が開始されたこと】【自らがその相続人であること】を申し出る制度です。この申出がされると相続人の氏名・住所等が登記されます(持分までは登記されません)。 ただしあくまで申告義務を果たすというだけの制度ですので、通常の相続登記とは性質が異なります。

相続土地国庫帰属制度(2023年4月27日施行)

相続によって取得した土地でも青地の農地など、利用価値がないのに将来にわたって固定資産税などを負担しなければならないいわゆる負の財産の問題が多くあります。この問題が様々な放棄地や空き地問題を引き起こしていることを鑑み、その土地の所有権を国庫に委譲できる制度が創設されました。この制度が相続土地国庫帰属制度です。
相続土地国庫帰属制度とは、国庫に委譲したい土地(「宅地」「農地」「森林」「その他」の4種類に区分される不要な土地)を委譲法務大臣(法務局)に承認申請し、要件審査を通れば国庫帰属の承認が下りるという制度です。相続したはよいが利用価値がなく、将来にわたって子孫の相続等に影響を及ぼしかねない土地を自分の代で処分しておきたいと思われる方にとっては願ってもない制度といえます。
ただこの制度は手続が面倒なことと、承認された場合にも10年分の土地管理費相当額(おそらく数十万円)の負担金を支払う必要がありますので、申請される場合にはその腹づもりも必要になります。

配偶者短期居住権制度(配偶者の短期的保護)(2020年4月1日施行)

配偶者の居住権保護については、短期的な保護と長期的な保護の両面から確保されることとなりました。

改正前は明文化はされていませんでしたが、判例から配偶者の居住権については、相続開始時に被相続人所有の建物に居住していれば、原則被相続人と相続人の間で使用貸借契約が成立していたと推認され、そのまま居住することができていました。
しかし第三者にその建物が遺贈されてしまったり、配偶者が居住することに被相続人が反対の意思表示をしていた場合には、使用貸借が推認されずに居住が保護されないことになってしまいます。そのような事態を回避すべく、配偶者が相続開始時に被相続人の建物に無償で住んでいた場合について、「配偶者短期居住権」というものが設けられました。

次の2通りで保障されます。
  1. 配偶者が居住建物の遺産分割に関与する場合は、居住建物の帰属が確定するまでの間の期間。ただし帰属が6ヶ月以内に確定した場合でも、最低6ヶ月は保障される
  2. 居住建物が第三者に遺贈された場合や配偶者が相続放棄をした場合には、居住建物の所有者から消滅請求を受けてから6ヶ月間、配偶者は居住建物を無償で使用する「配偶者短期居住権」を取得する

被相続人の建物に無償で住んでいなかった場合にはこの権利は取得できないことになりますが、権利を取得すれば必ず最低6ヶ月間は居住が保護されることになります。

配偶者居住権制度(配偶者の長期的な保護)(2020年4月1日施行)

長期的な配偶者保護施策として「配偶者居住権」というものが新設されました。これは、配偶者が相続開始時に居住していた被相続人所有の建物を対象として、終身または一定期間の配偶者の建物使用権を認める内容となります。この配偶者居住権は「物件」であり、「登記」することもできます。なお「配偶者居住権」は、登記しないと第三者に対抗できません。
従来の制度では、遺言書がない相続で、その相続財産の多くが土地建物等の不動産だった場合など、法定相続分の規定によって、配偶者が建物以外の預貯金等を取得できなかったり、あるいは建物を売って共同相続人に金銭を渡さなければならないケースも出てきます。
例えば配偶者とその子供が1人いた場合法定相続分は、配偶者1/2、子1/2(複数いる場合はその子らで等分します)になりますので、相続財産が自宅(土地建物)2000万円、預貯金が2000万円の場合では総額4000万円となり、配偶者が自宅を相続すると預貯金の2000万円はすべて子の相続分となります。
預貯金が1000万円だったとしますと相続合計は3,000万円になりますので、1/2ですと1500万円になり、配偶者が自宅を相続した場合で子から請求があった場合は、子に500万円を支払わなくてはなりません。これでは相続によって配偶者が住む自宅を失いかねません。
それを解決するために設けられた制度が「配偶者居住権」になります。これは相続された自宅を、「配偶者居住権」と「負担付き所有権」に分け、配偶者の自宅の相続額を低く設定する効果が生じます。
先の相続総額4000万円の例で言いますと、配偶者居住権が1000万円とされればその居住権をもって住み続けることが可能となり、残りの負担付き所有権を子が相続した場合には、配偶者の相続額は2000万円ですので、1000万円分の預貯金を相続できるという仕組みになります。子には負担付き所有権1000万円と預貯金1000万円が相続されることとなります。
相続が開始した年齢にもよりますが、配偶者はその先何十年も生きることはないと仮定し、平均余命から割り出した住み続けられる間の価値が配偶者居住権になります。あるいは何年か後には老人ホームに移るので、自宅にはそれまでしか住まない、という選択肢もあるかもしれません。配偶者が亡くなった場合は自宅は子のものとなりますので、それが負担付き所有権となります。
この規定によって、現在の自宅の価値がまるまる配偶者の相続分になってしまい、その他の財産を相続する権利を失ってしまうことから回避されることになります。

しかしながらこの「配偶者居住権」には問題点も指摘されています。
  1. 配偶者居住権の付いた建物の資産価値は当然低くなりますし、いざという時に第三者に売ることができないということになります。配偶者の居住権が付いた家では、市場で買い手がつくはずはありません。
  2. その家に抵当権が付いていた場合には、居住権との先後の問題もあります。
  3. 「配偶者居住権」は配偶者の方の終身の権利ですので、その方が亡くなれば権利は消滅しますが、途中で配偶者居住権を放棄する場合(老人ホームなどに移る場合等)は、配偶者から子などに贈与があったとみなされ、贈与税が発生する恐れがあります。
  4. 固定資産税の支払者を明確にしておく必要があります。

運用面では非常に難しい問題をはらんでいるようですので、実際に「配偶者居住権」が問題になる関係性がある場合には、公正証書遺言を残しておくことが最善策と言えます。

建物敷地の現在価値ー負担付き所有権=配偶者居住権の価値
遺産分割に関する見直しについては次の3つの内容が含まれています。
  1. 配偶者保護のための持戻し免除の意思表示推定規定の新設
  2. 仮払い制度等の創設・要件明確化
  3. 遺産分割前に遺産に属する財産を処分した場合の遺産の範囲

生前贈与の持ち戻し免除(2020年4月1日施行)

婚姻期間が20年以上であれば、配偶者に居住用の不動産を生前贈与または遺贈した場合でも、原則として計算上「特別受益」(遺産の先渡し)を受けたものとして取り扱わなくてもよい。

改正前は、被相続人が配偶者のためを思って自宅を生前贈与していた場合でも、「持戻し制度」というものによってその自宅は「特別受益」とされ、遺言による「持戻し免除」の表示がない限り、相続財産に合算されてしまいました。
どういうことかと言うと、先ほどの総額4000万円の例で見ますと、現行法では生前贈与された2000万円の自宅も相続総額に含まれることとなります。配偶者の相続分はこの自宅のみとなってしまい、残りの預貯金2000万円はすべて子に相続されることになります。
これでは生前贈与した意図が相続に反映されないこととなってしまいます。改正法施行後は、20年以上法律上の婚姻期間がある者については、その貢献に報い、老後の生活を保障すべきものとして、「持戻し免除」の表示がなくても表示があったと推定して(被相続人の意思の推定規定)、遺産の先渡しとして扱わずに相続財産総額に含めないこととなりました。
先の例で言いますと、遺産総額は自宅を含まない預貯金2000万円となり、配偶者と子がそれぞれ1000万円ずつ相続することになります。

生前贈与のデメリット
  1. 夫から妻へ住居の生前贈与を行なった場合、不動産の登録免許税が5倍掛かります。通常の相続の場合は不動産の価額×1000分の4ですが、生前贈与の場合は不動産の価額×1000分の20になります。例えば住居(土地+建物)の評価額が2000万円だった場合は、相続なら登録免許税は8万円ですが、生前贈与の場合は40万円となります。
  2. 相続の場合は不動産取得税は無税ですが、生前贈与の場合は不動産取得税が掛かってきます。
  3. 生前贈与した不動産も、遺留分侵害額請求の対象となります(贈与から10年で時効)

仮払い制度等の創設・要件の明確化(2020年4月1日施行)

一定額の即時払戻しが可能に
改正前は判例から、遺産分割が終了するまでの間は、相続人単独では預貯金の払い戻しをすることができないとされていました。

相続される預貯金債権は相続人全員の共有債権になりますので、それぞれの相続分が確定するまでは生活費や葬儀費用、相続債務の弁済などの必要性があっても払い戻しができず、相続人が立替える必要がありました。

改正法施行後はこれが緩和され、2つの仮払い制度が設けられています。
  1. 預貯金債権に限り、家庭裁判所の仮処分の要件が緩和されます。従来も訴えにより認められることはありましたが、見直しによって、仮払いの必要性があると認められる場合は他の共同相続人の利益を害しない限り、家庭裁判所の判断(手続き)で仮払いが認められるようになりました。
  2. 家庭裁判所の判断を経なくても払い戻しが受けられる制度が新たに設けられました。これは相続人としての相続分であれば、そのうちの一定額について単独で払い戻しが認められるという制度です。
相続開始時の預貯金総額×1/3×払い戻しを受ける共同相続人の法定相続分)まで払い戻しが認められることとなります。

改正前には、特別受益のある相続人が遺産分割前に遺産を処分してしまった場合には、他の共同相続人に不公平な結果が生じてしまいます。例を挙げますと、配偶者がなく子が兄弟2人あったとします。相続される預貯金が2000万円で、長男に2000万円が生前贈与されていた場合には、この贈与分は持戻しとなり、相続総額は4000万円になります。長男にはすでに2000万円が渡されていますので、今回の預貯金2000万円はすべて次男に相続されることとなります。
しかしこの2000万円のうち1000万円分を長男がだまって引き出していた場合には、残りの預貯金が1000万円となってしまいます。すると相続預貯金総額はもち戻しを含めて3000万円となり、法定相続分にしたがって兄弟それぞれが1500万円ずつ相続します。ここでは長男はすでに2000万円を贈与されていますので相続分は0円となり、次男が預貯金総額の1000万円を相続することになります。
これでは長男が贈与分の2000万円と引き出し分の1000万円の合わせて3000万円を受け取ることになり、次男は1000万円しか受け取れず不公平な結果となってしまいます。この場合は裁判に訴えても、結論から言うと次男の受け取り分は本来の2000万円に届くことはありません。
その不公平を是正するために、遺産を処分した者以外(次男)の同意があれば、処分した者(長男)の同意を得なくても処分した預貯金(1000万円)を遺産分割の対象とすることができる、という法律上の規定が加えられることとなりました。
これによって、たとえ共同相続人の一人がこっそり分割前の預貯金を引き出してしまった場合でも不公平が起こらない制度となりました。今の例で言うと、相続財産の総額は4000万円とされ、次男は1/2の2000万円を相続することができます。

相続人以外の子供の妻等への特別寄与料の創設(2019年7月1日施行)

相続は相続人にしかすることができません。相続人以外の者には、例えば親身になって世話をしてくれた長男の妻にも相続はなされません。これらの者に財産を贈りたい場合には贈与によるか、遺言書による遺贈や死因贈与の方法をとります。
しかしこの遺言書がなかった場合には、どんなに被相続人に尽くした者であっても、遺産分割協議に加わることはできません。この不公平を見直すべく、「特別の寄与の規定」が設けられました。
これは相続人以外の親族が、被相続人の療養看護等を行った場合に、一定の要件のもとで、相続人に対して金銭の支払いを請求することができるという制度になります。親族とは6親等以内の血族および配偶者と、3親等以内の姻族を言います。

当事務所のお役立ち

当事務所にご依頼いただくメリット

  1. 相続・遺言は行政書士の得意とする分野です。豊富な経験と専門知識で、ご相談者様の状況に最も良い相続・遺言書をお届けします。
  2. 相続のトラブル防止を大前提に、関係各所親身になったご提案をさせて頂きます。
  3. 相続には期限があります。スケジュールに沿った早期安心の解決をお届けいたします。
  4. 士業のネットワークを駆使し、登記や納税の際もスムーズな連携をお約束いたします。
  5. 遺言書はその内容が最重要です。侮るなかれ専門家のアドバイスは必要不可欠です。
行政書士の仕事と当事務所のお約束

行政書士の仕事は皆様にはなじみの薄い分野が多いですが、平たく言えば、役所への許認可を代理して行う仕事と、文書などを起案作成する仕事が主な業務になります。具体的に言うと、

  1. お客様の依頼を受けて役所へ提出の書類を取得し、申請書類を作成し、お客様に代理して許認可申請を行います。
  2. 遺言書や公正証書の文案等を起案作成し、公証役場で公正証書を作成してもらいます。

書類の作成や文書の作成などは、

  1. 法律や申請方法を勉強し
  2. 数々の書類を取得し
  3. 慎重に書類を作成し
  4. 平日に役所と交渉をし
  5. 平日に役所に申請をする

このようなことができれば、お客様がご自身で書類を作成したり申請をすることができます。

しかし「許認可申請」といっても、単に形式を満たせば申請を行うことができるものだけではなく、申請書類の内容自体が可否を左右するものであったり、遺言書や相続書類、あるいは契約書などのように、書かれている内容によって質や効果が大きく異なってくるものもあります。

私ども行政書士は蓄えた知識や培った経験から、お客様の事案にもっとも適切な内容を吟味し、最適な形でアウトプットしていきます。

行政書士が報酬をいただいて業務を行うということは、お客様にとって大変な手間や貴重なお時間をお買い上げいただくということになります。

当事務所は知識と経験やネットワーク力を発揮し、打合せから業務終了まで、お客様のご期待に最大限お応えできることをお約束いたします。

行政書士と他士業
  1. 弁護士はオールマイティです。訴訟の懸念がある相続は弁護士の独壇場です。その分報酬は高めです。訴訟の可能性の低い相続は概して得意分野ではありません。
  2. 相続税の発生する相続は税理士が得意です。しかし相続税の発生する相続は全体の1割に満たない件数です。税理士の得意分野は税務です。相続税の発生する相続の場合は、税理士とタッグを組みます。
  3. 司法書士は登記の専門家です。不動産登記は司法書士にお任せします。不動産のある相続は司法書士とタッグを組みます。

ホームページの内容はあくまでも一般的な内容になります。さらに詳しいことを知りたい方は、お気軽にご連絡下さい。

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